大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2549号 判決

被告人 中条親光

〔抄 録〕

次に、公衆電話機はその所属の電話局長または電話分局長の管理下におかれているものであるから、それら局長の管理権は該電話機内に存置する金銭にも及ぶことは、敢て、喋々する迄もない。通話不能により、通話者において持ち帰ることのできるようになつている硬貨を、持ち帰らないで、そのまま電話機内に存置させておいたとしても それが電話機内に存置するものである以上、該硬貨は電話局長または電話分局長の管理に服するものであるから、該硬貨に対するこの管理を侵害する所為は、刑法上窃取の観念をもつて律しなければならない。それ故に、原判決がその挙示する証拠によつて被告人に対し、窃盗罪の成立を認めたのは、まさに、理の当然とする所である。されば、被告人の所為をもつて通話者の遺棄した硬貨を収得したものに過ぎないから窃盗罪を構成しない旨主張するのは、ただ独自の見解たるに過ぎないものといわなくてはならない。原判決には、被告人に対し窃盗罪の責任を認めるにつき、所論のごとき事実誤認または法令適用の誤をした跡は、絶えてない。従つて、同論旨(二)の(1)は理由がない。

(尾後貫 堀真 荒川)

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